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2005年5月

2005/05/30

過去ログ70

059:十字 青野ことり様
 三十字ほどに想ひを織りこんでトルコアイスのやうに練らうか
あの、ねとっとした食感が、想ひを織り込むにマッチしますね。
つめたい、あまい、やわらかくて粘着質。

063:鬼 落合朱美様
 零れ出る涙が炎に変わるときアタシの中には鬼が棲んでる
アタシの位置どりが絶妙です。ここだけ片仮名なのがいいですね。

028:母 内田かおり様
 木漏れ日を浴びて居りしか母の胸のところどころの透明揺るる
後半「の」が続くのが意見の分かれるところでしょうが、奥へ、もっと奥へと
ズームしている動きがきれいです。また温かな親子の愛情を感じます。

018:教室 敏恵様
 教室の机に白き花在りき昨日の元気なきみの代わりに
小学校でこんなことがありました。新聞の見出しもはっきり憶えてる。
「母の日、悲し」だった。お母さんがクラスメイトを病院に連れて行くとき
修学旅行間近のおにいちゃんも乗せていった。帰りは買い物。
でも、お母さん、スピード出し過ぎて・・・死んじゃった。
クラスメイトも死んじゃった。おにいちゃんだけ助かったけれど
修学旅行には行けなかったの。

038:横浜 五十嵐きよみ様
 「ともだち」と呼び合うことの近しさは渋谷と横浜くらいの遠さ
近しさと、実在する距離で示す距離感がうまく絡んでいますね。
しかも渋谷ですからなお、具体的。

038:横浜 新藤伊織様
 いつだって見切り発車のきみたちは横浜以上新宿未満
五十嵐様と並べて味わいましょう。同じ東京でも新宿です。
その分だけ、若さとかを感じます。

040:おとうと やまもとまき様
 おとうとの手を引いて乗る市バスには濡れた魚の匂いが満ちて
端正に仕上がった風景描写。デッサンだけで美しいある港町のワンシーン。
色が感じられる部分があれば。匂いと情景が溢れているので、ついでに
美しい色彩を時間帯から選べば素晴らしさが倍増です。

039:紫 田丸まひる様
 ゆるされていないことまでしてほしい薄紫に染まる階段
計算された、かわいいセクシー。薄紫の階段だなんて、きっと、
赦されなくてもしたいことが溢れている場所。ロリポップな背徳のにおい。

028:母 ワタナベケンタ様
 唇を噛むと母の味がした十六輌編成の帰郷
やや破調ながらも、前半が圧倒的にいい。そして場所設定も素敵。

054:靴下 野良ゆうき様
 靴下をぬいだ時点で砂浜の女王になった夏の妖精
妖精が女王へ、大変身。素足の夏海辺ほどそういうことが起きる場所は
ゲレンデで帽子を脱いだ雪の女王に匹敵するとおもう。

006:時 紫峯様
 哀しみが少しづつ増し 午後五時に風のたてがみ心を奪う
風のたてがみとは、不思議な情景です。言いたいことはよく伝わるし
そういう比喩も美しい。静寂のなかのうつくしさです。

092:届 麻生智矩様
 手品師の指も届かぬ暗闇に咲いて受粉を待つベラドンナ
やばいでしょう。なんでこんな、官能的なのでしょうね。
え、どうしてって。ベラドンナですよ、ベラドンナ。


昨日よりはとれました。はい。
皆様、毎度毎度ここでのつぶやきで申し訳ありませんが、
選歌して下さったりイベントにお誘い下さったり、ありがとうです。

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2005/05/29

過去ログ69

037:汗 田丸まひる様
 ゆるされてくちびるつける茉莉花のにおいの汗のこぼれる目蓋
漢字を抑えていることで、茉莉花と目蓋が鮮やかに浮き上がる。
浮き上がる場所があることで全体の流れにめりはりがついて、きれい。

091:暖(再投稿) 麻生智矩様
 さようなら暖かいひと 耳奥に雨はしきりに降っているけど
不思議なリズムを持つお歌です。この雨はたぶん暖かい雨なのでしょう。
それとも、寒さを堪えながらの別れの場面でしょうか。

033:魚(再投稿) 宵月冴音様
 魚さかな水冷えてをり如月のベッドの中のぬくもり、たしか。
仮名遣いと内容の新鮮さのギャップがすごい。句読点も効いていると思う。
使うべきか、スペースだけにするか意見が分かれる部分かもしれませんが
私はあった方が好きです。

038:横浜 三宅やよい様
 横浜の硝子戸越しに客を見ている空を見ている名無しの犬が
犬にはきっと名前、あるのだと思います。でもそれを知らなくて、
何となく見慣れた情景になりきってしまっている。柔らかいお歌です。

022.弓 森田直也様
 弓取りの力士の鬢のほつれたるころに通過す倶知安駅を
同じ地方の方と見ました。地名がローカル。ここいらの地名の中には、
土地柄なのか正しく読んでもらえない上「(地名の)意味が分からない」とか
辛辣な意見を頂くこともあります。倶知安(くっちゃん)、長万部(おしゃまんべ)
留寿都(ルスツ)に壮瞥(そうべつ)などなど、挙げればきりがない。
でも、実在する場所なのだから、堂々と詠んでいいと思います。

064:科学 中村悦子様
 科学では描けぬ力ねじれつつ叫び続けるゴッホの糸杉
叫ぶ糸杉というのは確かに凄いかも。人の手によるものだからこそ、
表現できる力があり、それによって伝わる感動もある。

今日は久々&少な目の更新でした。
波があって、忙しいときとそうでもないときの差が大きいですね。
仕事が忙しくなくても私用が忙しかったりして。。。
療養生活を送っていた愛犬も元気になり帰宅しました。
ストレス源の包帯が取れた途端、すっかりいい子にしています。
吠える、甘噛みするなどの問題行動は、手術の影響というより
術後のストレスによるものが大きいのでは、と
ドクターのお言葉もありました。来月からはフィラリア薬投与。
肥満に気を付けながら、また楽しく一緒に暮らします。

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2005/05/24

過去ログ68

013:焦 日菜清司様
 パテシエは官能論を説きながらプリンに乳房ほどの焦げめを
すごく甘く仕上がっています。いや、乳首だったらどうしようかと思った。
乳房ほど、って想像力をかきたてられる。大きさか、甘さか、やわらかさか。

053:髪 飛永京様
 満ち潮になびく甘藻はジュゴンらがいつかなくした緑の黒髪
本当に緑の黒髪色ですね。ジュゴン=マーメイド=洋風の味付けなのに甘藻なのが
小粋なミスマッチとでもいうのでしょうか。これで洋と洋、和と和なら、
もっと印象がぼやけていたでしょうね。

018:教室 五十嵐正人様
 教室にワックスかけて学期末「先生、シゲが頭打ったよ」
すごく青いです。若さがはじけている括弧の中のありそうな台詞。
ワックスって、かけてすぐより油断した頃に滑るし。絶対誰か転ぶし。
教室のお題が新鮮なのは現役の学生さんでしょうか。

055:ラーメン 織田香寿子様
 湯を注ぎ三分の間(かん)思いおり即席ラーメン好きの叔母の死
偶然ですが今日、別のよみもので「個人追悼食事会」のコラムを読みました。
そちらは田舎の南仏料理店で、常連客で舌ガンで亡くなった個人のため
お気に入りだった料理をマスターが親しい人たちに振るまい個人を偲んだのです。
食べ物と追悼ってよく似合うんだ、とあらためてこのお歌で実感。
たとえそれが特別なものでなく、カップ麺だったとしても。

024:チョコレート 逢森凪様
 それ以上でも以下でもなくてチョコレート 食べてしまえばそれっきりだよ
苦い、というより乾燥しているチョコレート。淡々とした調子が印象的です。

090:薔薇 麻生智矩様
 背を抱く腕を傷つけてはさらに抱きしめられて薔薇が泣いている
もろ、ストライクゾーンど真ん中のお歌です。甘くて痛い。いい男の歌だわ~

027:液体 黒月秋哉様
 どこまでが君でどこから銀木犀 零れ続ける樹液体液
たとえるなら水銀のような質感をもった、不思議な世界に引きずり込まれます。
色の使い方とそれに似合う言葉を厳選した感じ。

035:禁 新藤伊織様
 何度目の失恋だろう麗しき禁止エリアが日々増えてゆく
これも、若々しいですね。青っぽい、というか水のような質感がある。
勿論失恋回数からも「初々しい」のではなく「青っぽい」のです。
禁止エリア=(かつての)思い出の場所、ですが、これが痛いのではなく
麗しいとしたあたりが初々しくなくwaterな所以かも。

自分が完走しちゃって、ちと寂しいのです。
そんな中、コメントを下さったり、こちらで選歌して下さる方もいて
あらためて「ひとりで走ったんじゃないんだなあ」と実感。
無論、私の歌は誰にも師事していないゆえ、すききらいがはっきり別れると
自分でもわかっています。「大嫌い」だと思っている人もいると思う。
そんな中で選歌して下さったりコメントを下さる皆様との出会いは
誰もが笑顔の中で出会うより、数倍も嬉しく感じられるのです。
皆さん、本当にありがとう。

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2005/05/23

過去ログ67 そして完走

009:眠 萩原留衣様
 眠るのが少し怖い日は心にもパジャマを着せようココアのパジャマ
入眠前のココアは割と出てくる素材ですが、ココアのパジャマとなると、
ほんわかと温かくかわいらしく、斬新に響くから不思議。

007:発見 アストラ弥様
 聖杯にあたしを着せて旅に出せ発見されぬ星の名冠し
非常にファンタスティックなお歌なのですが、SFとも違うきりりとした響きが
「旅に出せ」という命令に出ています。そこが魅力。

059:十字 中村悦子様
 ためらいを十字にほどく 色が音が温度があなたが 夜来香(イエライシャン)
漢字言葉は、そのままの発音にかないません。なんて美しい響きでしょう。
その手前「色」「温度」「あなた」の並びも美しい。
音でも表記でも美しいお歌に触れられ、いい夜です。

053:髪 kitten様
 彼女の髪(好き好き好き)ああ!レーニンはハゲ(さらば共産主義よ!)
彼女の髪から禿頭のレーニンに飛躍するぶっとび具合がほほえましい。
それも、わざわざ選んでレーニンなところがすごい説得力。
たまたま歴史の教科書にでもいたのでしょうか。で、後ろから好きな子の髪を見ていて
教科書に目線を落とすと禿頭のレーニン!まさにディープインパクト。

013:焦 宮沢 耳様
燃えているやうな椿の花弁落ち少し焦げたり雪のひと道
椿が落ちるお歌も散見されますが、寂しさとしてでなく、道を焦がす
熱い解釈が椿の鮮烈な赤を生かし切っていると思います。
風景としても完成しています。絵にできるお歌、好きです。

043:馬 ピッピ様
 馬馬馬馬馬馬馬馬馬馬馬馬馬馬馬馬馬青空に立つ砂のしずかさ
音読せよ、と言われると困りますが、フルゲートに1頭足りない馬の列。
そして砂。ダートレース前の一瞬の静寂と解釈しました。
横書きの特性を生かし切った見事な馬の群に、ただただ脱帽です。

012:メガホン 高岡シュウ様
 未使用のメガホン一つ部屋の隅 僕のエールは要らないだろう?
ほんとうはあなたの声が聞きたくて耳澄ましてる歓声の底
ちょっとひねた「要らないだろう?」への返歌でした。
どうせなら、いるかいらないか、叫んでみればいいのに。

020:楽 温様
 電話する級友が皆恋してく。だめな女も楽じゃないよね。
すごく奥が深いお歌。聞き役に徹しているのか、簡単に口にできない恋をして
だめな女のふりで沈黙を守っているのか。一連の流れからみると、
どうも後者のような気がします。恋って素敵だけどね、破れたときのため
本当は黙っていたほうがいいものかもしれません。


さて、5/22、ついに短期間で完走してしまいました。
これからは、ゆっくり鑑賞に回り、また知り合えた方々とのイベントに参加し
ゆるゆると短歌生活を楽しみたいと思います。
自作は一度こちらにまとめた後、本店にもまとめておく予定です。
結局最初の目標はどこへやら、無理に走ってしまった感じがします。
そんな中で選歌して下さる方には、本当に感謝しています。

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2005/05/22

過去ログ66

062:風邪 中澤あけみ様
 風邪ひきの吾子を残して仕事場へ向かふ体の重かつたこと
これはもう、経験のない人には絶対通じない切なさでしょう。
そうするしか選択の余地がない苦しみは、もう十分大人の連れ合いが
熱を出したからと仕事を休むようなやわな男にはわからないのです。
大人ならタクシーでも救急車でも自分で呼べる。でも子どもはできない。
過去形であるのが救いですが、さらっとしているようで重たい一首でした。

048:袖 青野ことり様
 袖丈が長すぎるから指先の声が籠つて三月の鬱
指先の声、いいですね。袖が長めの服、ゴスロリでよくありますが
どうせなら紳士服の袖の長さであってほしいところです。
鬱、不眠など題材として多く見掛けますが、違和感なく読みとれたのは
ほんの数首だけで、そのなかのひとつでした。

016:たそがれ 花月 香様
 たそがれに煙草吸う手と絡め合う不敵な笑みが良く似合う君
恰好いい。自意識過剰な面もあるのかな、という気はしますが、似合っていれば
演出も個性ですから。

036:探偵 愛観様
 嫌になる恋した女は探偵を胸に雇っている否応なく
うまいなあ。そのとおりだと思います。女の方がそのへんは敏感で
鈍感で結果ストーカーに成り下がるのは圧倒的に男。
相手の隠し事を見抜くのはイヤでもあり、強くなるためでもあり。

054:靴下 あみー様
 靴下の穴がかわいい 隠そうとがんばる君はすごくかわいい
そういうあみー様がいちばんかわいい!

082:罠 麻生智矩様
 毒だって致死量じゃなく罠だって焼きが鈍ら臆病な僕
徹底的な憎悪ではなく、ほんの少しのためらいを臆病と呼ぶか思いやりとするか。
こうやって歌えるということは、本当は余裕と思いやりだと思う。

029:ならずもの 西村玲美様
 常ならずものうげなるは青の濃さグラスと水のさかひを探る
うまく分離させました。そのまま使うかばらしてまとめるか、難しいお題でしたが
全然苦しそうじゃなく、よく探したら「ならずもの」と続いていた。
もの憂げ、と漢字を使いたいところですが、お題がきれいに収まったので
及第点とします←すごいワガママ


今日はここまで。何だ、時計見ないでいたら、えらい時間になっていました。
さて、今日の1首めのお歌、あらためて振り返りまして
働く女性にしか絶対わからない切なさがいいですね。
ちょっと触れましたが、女房が風邪を引いたからと仕事を休む男は嫌いです。
おとなは自分で病院に行けます。行けないほど悪ければ救急車があるし。
そういう男に限って共働きの女性が「子どもが風邪で」なんて言うと
いいだけ嫌味を並べてくれたりします。
そういうことをしない人ならきっと休んでも不愉快ではないのだけれど
ぐるっと周囲を見わたしたとき、そういう男が圧倒的に多い。
友人があるところに臨時職員として働きに行った際、飲み会の翌日
皆平然と「ふつかよい」で休んでいることに仰天し更新しなかったそうです。
どこかおかしな社会だなあ、と思います。
そういう人たちをどんどん入れ替えればいいのに・・・

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2005/05/20

過去ログ65

068:四 廣西昌也様
 午後四時に生まれ六時に死んだので一子のながいながい二時間
淡々としているのですが、結句が切ない。たった2時間。けれど生きたすべての時間。

023:うさぎ 宵月冴音様
 お茶会も終わりね月も地も消えて三月うさぎは時計を捨てる
すごくファンタスティックなのですが、使っている言葉はどれもわかりやすいので
かえって世界に引き込まれていく感じがします。

033:魚 田丸まひる様
 悪意ひとつ隠し通してなぜかしら青い金魚を飼いたいのです
ありえないものの嵌め込み方が抜群にうまいと思う。全体の言葉をすごく選んで
1箇所「あれ?」と引っかかるポイントを置く。それで金魚の青が際だっている。

022:弓 黒月秋哉様
 頬に痣「空弓引いた」と意地を張る「馬鹿が」お前がそう云うのなら
後半に溢れる思いやりがすごく好きです。言葉では「馬鹿」って言い捨てているけれど
見抜いている偽りの言い訳に敢えて淡々と応えることで、深い愛情を感じます。

021:うたた寝 紺乃卓海様
 水底のうたた寝は言い訳のため ぬれた睫毛の掠る痛点
睫毛の掠る痛点という言葉の響きにやられました。きれい。


今日はすごく少ないです。ごめんなさい。
最近更新もぽつん、ぽつんとしかできていないし。
昨日は帰宅していないので、どうしようもないのですが・・・
最近また過去ログがゆっくりめになってきたので丁度いいかな?
どうやら今週末にも完走できそうな感じです。
完走したら、反省会じゃないけれど、再度推敲などしてみようかと。
って、去年のも途中で放置してるのでそっちが先ですね。

ちょっとショックを受けることがあって今日は歌を詠めそうにないです。
一晩寝たら少し落ちつくかな、と思っていますが・・・
明日は朝寝坊しないために、リフレクソロジーの予約を入れました。

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2005/05/17

過去ログ64

022:弓 小林成子様
 小夜庭に妖精は飛び花は舞う白き月よみ弓となるまで
特筆すべきは、和の要素の中に飛び込んできた妖精の斬新さでしょう。
この言葉のほかは大和の匂いがするのに、ふいっと迷い込んできたかのような
異国の香りがスパイスになっています。

044:香 M.東矢様
 ひそやかに香水を選(え)る哺乳類ときをりただの雌にもどらむ
情事発情期(笑)なのか、私は香水コレクターです。まあ、どっさりあること・・・
その中から「えいっ、今日はこの香り~」と選んでいるとき、確かに「おんな」より
雌の心情に近いものがあります。

003:つぼみ 紅月みゆき様
 明日(あす)咲くつぼみの名もいへるなんどでも春のからだを交はすぼくらは
016:たそがれ 紅月みゆき様
 あなたとは出会ひ直せぬたそがれが始まる場所を探し当てても
025:泳 紅月みゆき様
 性愛にも始まりはあり背泳ぎの腕が跳ね上げる水の少なさ
3首連続で!いやはや、素晴らしく好みのストライクゾーンにはまる方に出会いました。
贔屓の参加者様がどんどん完走していく中で「いいもの見つけた!」って気分。
一番好きなのは「泳」の歌。どれも佳いのですが、「性愛」「背泳ぎ」のつながりが
何故か全く不自然ではない。

016:たそがれ 島なおみ様
 たそがれのひとつひとつが珊瑚玉わたしの指の燃えたつ匂ひ
珊瑚玉の色がいいですね。控えめで、温かで、美しい。ルビーだとか琥珀より
やっぱり珊瑚が一番このお歌には美しいと思います。

054:靴下 秋中弥典様
 もういっそ泊まっていけば?靴下とレモンタルトは用意してある
参りました。泊めてください。レモンタルトは好物なのでしょうが、歯ブラシでも
パジャマでもなく、下着でもなく、靴下。お題がそうなんだけど、でも斬新。
そしてうっすらと見える下心さえ赦してしまう。
皆さん、女性を泊めたいときはこの殺し文句で!

004:淡 美里和香慧様
 淡い泡あわいあわあわあわわわわあわにまみれて淡くばうんど
文字遊びの上手な方ですね。「意味は?」なんて考えず、音の響きを楽しんで、
その中で自分の中の泡がぷくぷくするの。

033:魚 五十嵐きよみ様
 閉じられた世界の中にいる不快 魚眼レンズで私を見るな
魚眼レンズで見ると中央ぶくれといいますか、誇張された世界ですよね。
それを巧く持ってきて、結句「見るな」と突き放す。けれど閉ざされた世界。
その拒絶さえ聞こえないかも知れないあやふやさが魚眼レンズなのかも。


さて、先日から「わいわい歌会」に参加させて頂きまして、楽しい時間を
過ごすことができました。ばんばん意見を頂けるところが嬉しいですね。
なれ合ってくると遠慮なども出てきがちですが、皆で良い方向に進むなら
むしろ「ここはわかりにくい」「もっとこうするべき」という意見交換は
素晴らしく有意義でした。

マラソン・・・完走まであとちょっとです。

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2005/05/15

過去ログ63

053:髪 秋中弥典様
 明日には消える思いもあるだろうきつく束ねた髪はそのまま
髪を束ねたまま寝るのは結構難儀でしょう。明日には消える、と言いつつ
眠れない夜を覚悟しているように思います。消える、というより「消せる」に近い
強い決心を思わせる。きっと黒髪で、横顔で。

032:乾電池(再投稿) ゆか様
 「録音はやめたらどうだ」そうしたい 許しがたくて買う乾電池
いや、許しがたい奴に「やめたらどうだ」なんて言われる筋合いはないし。
「そうしたい」の後の空白部分に「許しがたい」気持ちが込められている感じ。

040:おとうと 原田 町様
 末っ子のおとうとゆえの思いいれ父は頼朝いつも貶せり
このお題、私はすごく難しかったのですが、上手にこなしていると思います。
父は頼朝、というのが独特の言い回しでいいですね。
判官贔屓と愛しいおとうとへの思い、正しくても批判されちゃう父の心情など
頼朝という固有名詞の勝利でしょう。おとうと=義経と持ってくるよりずっといい。

011:都 日菜清司様
 獣には獣の都合しんしんと折りかさなればうつくしい墓
風景としては、すごく胸を締め付けられるものがありますが、前半の力強さが
結句「うつくしい」を野性味溢れる美しさとして説得しきっています。
人間の都合だけで「かわいそう」というより「獣の都合」により、喪われた命にも
「うつくしい墓」という言葉がしっくり馴染む。食い荒らされ、腐敗して土に還る命。
けれど誰にも支配されず誇り高く生きた命。

070:曲 白玉だんご様
 書きつけに「子供のボレロ」曲でなく何か長袖買ってやらねば
このお題でボレロを持ってくるところがすごい。確かに服もボレロなのですが、
子供服とボレロのとりあわせは斬新でしょう。(ボレロはアイスダンスが一番好きです)
まだ肌寒く、さっと羽織れる長袖を買い与えたい。そしてボレロだからきっとお嬢さん。
書き付けて買い物に行くお母さんの優しさと、曲=ボレロ=服の斬新さが相まって
素敵な日常風景となりました。

022:弓 海神いさな。様
 ひっそりと眠れぬ夜に纏うのは弓張り月からしたたる虚無 虚無
結句のリフレインが効果的。繰り返しはたった31文字の中で吉と出るか凶と出るか
自分でも毎度頭を抱えるのですが、他の言葉を整理してでも繰り返したい音がある。
虚無という文字の持つ雰囲気が活きるのも、文字で読ませる短歌というジャンルの
素晴らしい特権であると思います。

024:チョコレート emi様
 夏はまたなめらかに来てほろ苦いチョコレート飲むたぶん孤独に
言葉の流れを造るのがお上手だと思います。なめらか~チョコレート、
ほろ苦い~チョコレート~孤独、夏~チョコレート、と総ての言葉の中心に
チョコレートがしっくりはまり、そこから滑らかな言葉の繋がりができている。


久々に更新できました。仕事(徹夜)あけから所用のため留守にしており
本日、私だけが帰宅した次第です。家族(犬)は実家でバケーション・・・
思い悩んでいるうちにもうすぐ2歳になろうとしている愛犬の
避妊手術をしてきました。すごく悩んだのですが、将来を考えれば
若く健康で体力があるうちに手術する方が、長生きしてくれるのかな、と。
子犬も見たかったですけれど、第一にMixなのでお婿さんを探しにくい。
第二に、子犬を全部里子に出すのはかわいそう・・・
第三に、どの子か1匹だけ選ぶなんてきっとできない・・・

幸い、素晴らしい先生に出会うことができ、不安は全部解消されました。
術後の経過も良好です。今日には完全に回復し、痛い様子もなし。
当日だけは、時折ちょっと痛そうなそぶりを見せていましたが。
他の方に聞くと、術前検査を前日行い、更に当日不安項目の再検査をし、
しかもその再検査は無料で、麻酔導入~心電図装着~気道確保まで
全部立会させてくれるところって、少ないらしいです。
麻酔前投薬が終わってひき渡し、というのが多いんですって。

無事手術が終わり、当日だけはちょっと痛そうにしていた愛犬も
昨日は食欲旺盛、元気いっぱい、今日に至っては元気爆発・・・
というわけで抜糸まで2週間、実家に預けてきた次第です。
昨年記録的な猛暑の折、記録的な多忙さで避暑に出していたため
実家に預けられるのは犬も平気なようです。
寂しいのはむしろ、私の方ですね・・・

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2005/05/08

不安定な誘惑

過去ログを放置していたので、10個ばかりまとめておきます。


061:じゃがいも
いざ触れよ裸身の我にじゃがいもを掴むが如く無骨な掌(て)以て

062:風邪
薄衣を剥げよ北風邪道なる戀 されど愛 今宵の契り

063:鬼
天の邪鬼でごめんね君の恋ごころ知りつつ振らむみどりの袖を

064:科学
渓谷に耳を澄ませば死者のこゑ非科学的と人は云うけど

065:城
砂の城は波が真砂に戻すだろそういう恋なら痛くないのに

066:消
鼻先で触れあうだけの蝶の接吻(キス) 消極的なさよならを 今

067:スーツ
紺スーツにキャミソールなど合わせてる何時恋してもいい覚悟です

068:四
胸元がはだける手前四つ目の釦の鍵は貴方にあげる

069:花束
SAMOURAIの色そのままにクレマチス君の匂いを添えし花束

070:曲
薄明かり白いシーツを捩らせてビオラの如き曲線晒す


この中で「科学」だけが、ちょい異色な歌になりました。
このお題を見ると、どうしても、そうなっちゃう。
今だったらもう少し色気のある歌もできたでしょうけれど・・・

科学:♂♀の結合 化学反応で解け合いひとりになりたがってる

けけ、こっちのほうが自分らしい感じがします。
あまりシリアスなキャラは似合わない気がするからね。

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過去ログ62

043:馬 ドール様
 決断をしなきゃならない選ぶもの捨ててゆくもの回転木馬
前半の砕けた口調が、ぴったりきます。回転木馬で切れてしまうから、
その前の流れがどうなっているかによって、感じ方が全く違っちゃう。
このお歌の場合、「しなきゃならない」という砕け口調がよくはまっていて、
上手にまとまったと思います。これが「せねばならない」とか固いと、
結句が死んでしまう気がする。たまに文語、口語でぐちゃぐちゃ云う人もいますが
大切なのは全体の流れと印象だと思います。

013:焦 如月初香様
 気ばかりが焦る卯月かクッキーの食べかす払いノートを閉じる
これ、わかります。ついついクッキーなど食べながらノートをめくっているんだけど
気もそぞろで、ぼろぼろこぼしちゃうんですよね。日常の切り取りなんですけれど
季節の設定や食べ物(煎餅だと、ちょっと違う)の選び方がお上手。

030:橋 ぴいちゃん様
 先頭がなぜか渡った小枝橋 蟻の性(さが)にて粛々と行く
蟻が実際の蟻なのか、はた人間の象徴であるのか。どちらにしても、
「小枝橋」という言葉がキーポイント。危うげで、続く者もそれを承知しながら
どうしても渡らなければならない性。印象深いです。

022:弓 砂時計 更様
 もどかしく覚ゆるがゆゑ弓張りの月の如くに眉墨を引く
月のような眉を引く。女性ならではの心情でしょう。もどかしい故に、
敢えてはっきりとした眉を引くのは、ある種の呪文のよう。

039:紫 飛永京様
 紫陽花の地球儀ひとつくださいな海の深さを示したものを
紫陽花の地球儀がいいですね。紫陽花の色彩は複雑で、海の色合いにも
確かに似ています。深く、浅く、また澄んでいたり濁っていたり。
言葉を省略しないならば「紫陽花色の地球儀」というところでしょうか。
大陸の部分は枯れた花や、葉の緑で表現できそう。わくわくします。

044:香 落合朱美様
 君の胸枕にできない今宵ならJAZZの香を纏って眠ろう
実は、このJAZZの意味合い、よくわかります。一時愛用していました。
元々のやつのほうが好きでしたね。JAZZにEGOIST、現在SAMOURAIと、
メンズフレグランス、必ず1つは持っています。理由は・・・言うだけ野暮でしょう。

045:パズル 斉藤そよ様
 つららからしずくのパズル 瞬間に おひさまの位置たしかめている
しずくのパズルって斬新!何気ない冬のいい天気の一コマですが、作者の目が
あたたかく視野を広げています。しずくが落ちるならおひさまが出ている。
当たり前のことなんだけど、こうしてお歌で読むと、新鮮です。


今日もなんとか更新できました♪
さて・・・問題は自作ですね。あと一歩で完走できそうなのですが、
後半難関が潜んでいて、ぼんやりしていたらこのまま休憩に入りそう。

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この場をお借りしまして

今日、題詠マラソンのアンテナをリンクに追加しました。
実はほとんど連日、皆様のサイトを拝見させて頂いており
その中で自作を発見すると、大変嬉しく励みになっております。
本来なら皆様のところで御礼を申し上げるべきなのでしょうが
なかなか気恥ずかしくもあり・・・
というわけで、この場をお借りしまして(いや、自店なんだけど)
日頃私の歌を読んでくださっている皆様に
改めて御礼申し上げます。

題詠関係は主にこのブログを使っていますが、
遅々としてはかどらない状態ながら、本店もあります。
もし興味がおありの方がいらっしゃいましたら
リンクから飛んで頂き
「うららかなだけが春とは言えぬ」というページを辿っていってください。
過去の歌がいろいろ、出ています。

さて・・・今日は少しか更新できるかな?

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過去ログ61

027:液体 森屋めぐみ様
 何回もほどけてしまう眠りとの間(あわい)にたゆたう夢は液体
結句が良いですね。不眠症気味のひとなら、共感しそう

052:螺旋 麻生智矩様
 また眠る 眠れば少し死に慣れて螺旋がほどけゆく その先に
死に慣れる、というのが印象的。眠りは確かに、そういうものかも。
053:髪 麻生智矩様
 断髪ののちの自由を仇にして弥生泣いても喚いても春
結句が絶妙。口語短歌について理不尽な批判をする人がいますが、
それは単に、モナリザは芸術でシャガールは「意味不明」と同義語。
少なくとも、私は好きな歌を選びます。律だの個人的な意見だの、
はた個人にはべったりな姿勢、きらいだから.

061:じゃがいも 望月暢孝様
 黎明にじゃがいもの花揺るるとき大地の底ひにたぎる火がある
じゃがいもを「だぎる火」というのがいいです。

005:サラダ 鈴木有機様
 くちびるで擦ったマッチを投げ入れるサラダボウルの中の戦場
それは行儀悪いかな。でもハードボイルドの主人公が、やってくれそう。
人物がしっかししていたら野暮ではなく、むしろはっとするシーンです。


きょうはここまで。昨夜は1周忌に花を添えに行きました。
何故、が渦巻いて、私が、感情を亡くしたあの日。
だあれも、私を仲間とは思っていない。
孤独もわるくないけれど・・ね。

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2005/05/05

過去ログ60

007:発見 兵庫ユカ様
 性的な誘導のようその問いは何を発見させようとして
セクシャルな誘導尋問。発見されるものも、きっと決まっているんだけど
さらっと歌で答えられたら、問いかけた人はどきっとするでしょうね。
でも、いやではなさそう。「性的」というストレートな言葉なのにどぎつくない。
全体の雰囲気がそうさせているのだと思います。

055:ラーメン 白玉だんご様
 修行するラーメン店主の番組を見るたび疑う調理師免許
笑いました。でも、そうですよね。不味い店のひとも調理師免許はあるわけで。
同時に「教員免許を持っているのにどうしようもない教師」だとか、
「医師免許があるのに藪医者」とか、社会の「資格」の問題点が見えてくる。

052:螺旋 中村悦子様
 銀河、銀河、螺旋をなして回るだろう 真の孤独はかくも巨大だ
空白と句点の使い方が絶妙です。結句に。がつかないところがいい。余韻が深くて。

041:迷 秋中弥典様
 迷うならやめときなさい。その恋に溺れるほどの水はもうない
深く心に刻みたいです。そう、迷う恋なら、飛び込まなくていいですよね。
見境なく飛び込んでしまうのが恋なんだから・・・

003:つぼみ なづき氷涙様
 ベンチにはつぼみを一枝置いてきたきみの名前と同じ花 さらば
結句「さらば」の前の空白が素晴らしい。その前がさらっと流れているだけに、
ここで呼吸を置くことで印象がぐっと深まります。こんな別れ方なら、いいなあ。

008:鞄 温様
 今夜だけとか浸ってる彼なんか、鞄に詰めて連れ去ってやる。
連れ去るところが愛ですね。私だったら帰り道に鞄を川に捨てます(笑)
ま、今夜だけ・・・と言う相手には、こっちもそれほど愛情を感じないので。

074:麻酔 林本ひろみ様
 寂しさを埋める麻酔のような恋心の筆先にぶらせていく
寂しくなければ、本当の恋には出会えないかもしれない。あまり孤独でも駄目。
一日の「寂しい時間」を麻痺させる、という「麻酔のような恋」と「恋心」「心の筆先」
うまくかぶっていくところが、またいいですね。


今日も少な目かな。自作は今日はちょっと無理かも知れません。
明日はまた、中間出勤。休日中の処理がたまっています。
さっさと片付けて、明日は、5月6日、花を買う日です。
私だけが、このしがらみに取り残されている。
あれほど涙を流していた誰もが、もう花を運ばない。
だから、私が会いに行くから。待っていてください。

 渓谷に木霊は君の声として「戻れない」って悔悟の響き
 あの皐月さくら待たずに君は逝き絶望だけの風景でした
 つめたいね君へのなみだ嘘泣きが混じって何もかも壊すんだ
 月見酒とはゆきませぬ帰路のある私はコーヒーでご相伴
 君が笑う鴉の姿借りた午後「あははは、来ちゃ駄目」でもまた 来るよ

帰宅は遅くても20:00には大丈夫そう。
ワンコの服を1枚縫ったのです。飾りが足りず寂しいのです。
みどりのオーガンジーのリボンが2メートル欲しいけれど
テーマは「おかあさんのリサイクル」だから~~
オーガンジーは我慢して、根気よくフリフリをつくりましょう。

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2005/05/03

過去ログ59

013:焦 HIKARU様
 首筋を舐める舌先(焦らすな…)と背中に残す爪あとで言う
好きですね、こういうの。大胆で装飾のない本音だと思います。

006:時 高見里香様
 たんぽぽの時計をはめた人だけに流れ始めるたんぽぽ時間
かわいい造語。たんぽぽの時計は、本当にモチーフとしても可愛いかも。
欲しくなってしまいます。ドレスウォッチとして作ってもらえないかな~

089:巻 かすいまこと様
 秋晴れの運動会の楽しみは 母の重箱 だし巻き玉子
おかずの品定めがとても効いています。出汁巻き玉子は家庭で全然味が違うし
まさに「お弁当に欠かせない母の味」の代表選手でしょう。私の住んでいる地域では
運動会って春~初夏の行事なので、時差ボケはしていますが、
お弁当が題材なら共感できますものね。

026:蜘蛛 前野真左子様
 <女郎蜘蛛><背赤後家蜘蛛>クモ族もをんななかなか手強さうなり
お題のこなしかたがお上手です。なるほど、漢字で書くとこうなるんだ~
これは・・・手強い、ですね。

092:届 丹羽まゆみ様
 名の上に×を印され消えた人 ただ一枚の届書だけで
しみじみと寂しい。戸籍の抹消でしょうか。
二重線で消したり、とにかく元の記載は「消えない」ままで抹消されるのです。
その分、消えてしまう寂しさは永遠に残る。
文字で見せる中で「×」は上手な選択だと思います。


少な目ですが、久々の更新となりました。
連休ですが、私はそれほど連休じゃありません。仕事入ってるし~
それでも、明日は時差で出るので朝寝坊できますし、
今日はかなりのんびり過ごさせていただきました。
天気も良く、洗濯物が気持ちよく乾きました。
ワンコを連れて、のびのび走れる大きな芝生の公園にも行きました。
一応家族サービス、です。

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