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2005/08/11

過去ログ89

021:うたた寝 青山みのり様
 すくわるる否すくわれぬしじみらの歌うたた寝の覚めぎわに聞く
しじみの歌。生きたまま鍋に入れるのはどうにも気の毒ですが、
そうしないと食べられないんですよね。石垣りんの詩を彷彿とさせる。

027:液体 青山みのり様
 ステンレスボウルの澄んだ液体を最後の海として口にせむ
2首めです。前半の硬質な感じが、しっくりしていると思います。
ボウルから直接何かを飲むなんてことはあまりなさそうなのだけれど、
海を入れるならそれぐらい大きく、硬質で冷ややかな金属がいい。

055:ラーメン 八香田 慧(ようかだ けい)様
 つき合いで割り勘負けの帰り道すするラーメン汁も残さず
このお題での選歌は、私にしては珍しいかも。割り勘負け、という響きが
ものすごく共感できるのです。飲兵衛と割り勘するとね~
しかも相手が図々しいと、腹一杯飲んでますからね~
帰りのラーメンはたぶん、ひとりで不満足だったお腹を満たすもの。
こんなことなら、お店でしっかり食べてやればよかったな、なんて。

070:曲 みあ様
 このカーブ曲がりきったらゆるやかに落ちていく夜 桃がはじけて
桃が「はじける」というのは何だか新鮮です。熟すると柔らかくなって、
とてもはじけそうにないのですが、濃厚な甘い匂いがしてきそうなお歌。
この部分的な非現実感がいいのかもしれない。

046:泥 恩田和信様
 人の云う朱に交わればしゅらしゅしゅしゅ赤きワインに泥水注ぐ
言葉遣いの巧みさの勝利。「しゅらしゅしゅしゅ」なんて、57577の中に入れて
なおかつしっくりするのは、相当厳選した言葉だからだと思います。
脈絡なく見えて、実は「朱に交われば」の朱色と掛かっていて、そのまんま
「赤」が続くかと思えば泥水が入ってしまい、結局赤くなっていない。
茶化すような表現が、ぴったりなのです。


久々に選歌しました。このログ、少ないです。はい。
きっと、同じ方のお歌がたくさんだったのと、
ちょっと自分の好みのパターンを突き抜けたせいかもしれません。
美しいだけが短歌ではないし、切ないだけでもないし。
ストライクゾーンが広がりつつあるようです。

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