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2005年9月

2005/09/27

過去ログ103

066:消 西村玲美様
 宵闇に紛れて消えし朱の雲細き蛙の背は動かず
 もう夜が来るよお帰りやせ蛙ひんやりとした孤独が痛い
このお歌で一番好きなのは「細き蛙の背」です。雲が「細い」とも読めますが
痛々しいまでの蛙の姿が、印象的。

044:香 汐見ハル様
 おひさまの香りふかふわ引き換えにあなたの湿度うすまる毛布
 ふたり寝の気恥ずかしさをおひさまに昇華させてく洗濯日和
あなたの湿度がうすまる、って、いい表現ですね。前半の響きとあいまって、
あっけらかんと健全な仕上がりになっています。どろどろした歌も好きだけど
気持ちよく頷ける歌も、いいです。

027:液体 野田 薫様
 乱れきった液体だからその色は秘密 油絵みたいな夏日
 夕涼みかなわぬ夏日気がつけば世界がゴッホの絵筆にゆがむ
特定はされていないのだけれど、まっさきにゴッホを連想しました。うだるような、
熱気で歪んだように重ねられた油絵の具、色彩の熱帯っぽさなどが、
このお歌にはすごくぴったりくる気がします。

061:じゃがいも ゆか様
 じゃがいもは幸と不幸が混じりあい貧ということの優しい記憶
 終戦の記憶くるひもあくるひもじゃがいもだった でも生きていた
じゃがいもって、素朴、庶民的、ちょっと貧しいイメージなどがありますね。
大好きなのだけれど、主食として毎日食べたいかというと、そうでもなくて。
けれど、形も味も、優しくてあたたかい。まさに「優しい記憶」です。


今日は、ここまで。だんだん厳しくなってる自分がいます。
特に同じ方のお歌が並ぶと、その中から「一番好き」を探したり。

どうにも夢見が悪かったせいで、すごく寝不足なのです。
いちいち夢の内容を覚えているのも、どんなものかと・・・
起きた瞬間「イヤな夢だけど、内容は忘れた」っていう方が幸せ。

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2005/09/26

ビショップ、奔走中

本店で、バーテンのベティがビショップに乱入し、オリジナルカクテルと
合いそうなお食事を提供し始めたようだ。
ベティの家にはもともとたくさんのお酒があった。最近は
飲んでしまって買っていない。がらがら、である。寂しい~
でも、ワインがそのかわり、ごろごろしている。

ベティはアマチュアバーテンだ。
実世界で飲めようと飲めなかろうと、おいしいお酒を提案するのが大好き。
飲み助さんがお客様なら、雑談コーナーのおすすめレシピ
ひとつ試してくださいな~くださいな~

短歌は停滞、おねむモード全開。
明日以降に期待してください。ぐっすん。

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2005/09/24

過去ログ102

049:ワイン 藤苑子様
 一人飲むワインの赤は寂しくて飲み干しながら鶏頭を画く
 火のような不穏グラスを通すからなおさら紅い鶏頭の筆
鮮烈な鶏頭と、どこかダークなワインの赤の取り合わせが綺麗。ワインの赤が
「寂しいから」もっと鮮烈な赤を求めているようで。

024:チョコレート 枝川由佳様
 試食する生チョコレート次々ときみのただしさ確かめるため
 口紅がココアまみれで真剣で言葉のようにチョコ噛みしめる
生チョコと後半のとりあわせが、ミスマッチなようでベストマッチなのが面白い。
ここで食べるものはこれしかない、的なはまり方です。ビターチョコではいけないし
何か濃い色の果物でもいけない。生チョコの常温でふにゃふにゃする質感だとか
濃厚な甘さだとか、そういう要素が必要不可欠です。

015:友 大辻隆弘様
 はじまつた秋のひかりの友として羽根ひとひらが路上に白い
 斜めからゆったりと差す陽光に真白な鳩の舞い降りて、秋
秋と白い羽根のとりあわせが、絵のように柔らかくて素敵です。
題「秋」とかで、油彩で描かれていたら素敵だな、と思いました。
場所は函館の煉瓦倉庫あたり、人通りは少なくて、でも無人ではなくて
倉庫を挟んだ下り坂を見上げるアングルで。ちょっと具体的ですか?

008:鞄 野田 薫様
 内側に暗黒系を携えて歩く 鞄はパステルカラー
 内張りの臙脂色から沁みだして巴里の淑女は老うほどに艶(えん)
これ、いいですね。バッグの内張りの色と、感情をかけているんですが
持っている鞄がパステルカラーなところが危うげでいい。
黒いお堅いバッグの内張りが例えばワイン色だと色っぽいけれど、
かわいいパステルカラーのバッグの内側が「暗黒系」だなんて
色気以上の危うさを醸し出していて、思わず声を掛けるのをためらう。


今日は、101よりはたくさん選べましたが、それでも4首でした。
このブログを立ち上げた当初から、自分が完走するまで、
そして完走後と、だんだん私の選考基準が厳しくなっているかも。
無論、今回の参加メンバーの中には、題詠マラソン以外で知っている方もいれば
現在ブログなどに遊びに行かせていただいている方もおります。
作風を知らない方より知っている方が甘い点になるかというと実は逆で、
より厳しい選考基準といいますか、その方の持ち味を発揮しているかまで
1つのログの中で見てしまうんですね。

ようやく私生活も少し人間らしいペースを取り戻しつつあるので、
今のうちに、ひとつでもログを読み進めていきたい反面
あちこちで開催されている楽しげなイベントにも誘惑されておりまして
今日も自分のところは放ったまま、あるイベントに飛び入りしてきました。
私ももっときちんと更新できる立場であれば、いつも参加するだけでなく
自分が言い出しっぺで何かやってみたいな~と思いもしますが
今月の更新状況を見て頂ければわかるように、まっしろです。
なので、図々しく人の家でご馳走を頂いては、
自分では酒やお茶で誤魔化しています。悪い奴じゃ~
いや、だって、本店バーだから・・・(←だから何だ!)

本店も閑散としているので、せっかくだからバーらしくするため、
ほとんど記載のない掲示板を利用して、酒と1品の紹介などしてみます。
これも、どれほど進むかわかりませんが・・・
アルコールが大丈夫な方は、たまに本店覗いてみてくださいね。

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2005/09/21

過去ログ101

039:紫 影山光月様
 青紫蘇の葉を刻むため息をつく夏 素麺の茹で上がるまで
 そうめんは厨房泣かせ茹でている間の地獄知らぬ卓袱台
今日は、これだけなんですねえ。収穫。きらっと光ったのは青紫蘇とため息。
時間も「素麺の茹で上がるまで」と短時間ですが、その間の溜息がいい。
他のお歌が駄目だっていうんじゃなく、今日はこれだけな気分なのかも。


100で飛ばしすぎたのか、1首のみの選歌となりました。
きっとログを読み返したら、もう少し増えると思うのですが敢えてしない。
今月はブログまっしろ、本店は開店閉業状態が続いていますが
絶対更新するぞ、というほど立派な生活はしてないし。
私の私生活なんか見ても面白くないだろうし(きっとつまんない)。

朝起きて→散歩→洗顔(こら!)→犬の朝食→着換え→コンビニ経由で出勤。
出勤して→朝ご飯(犬のダイエットのため人間は出勤してから食べる)
それから朝コーヒー→喫煙→始業準備→仕事。
仕事を終えて→買い物・給油などしたり、しなかったり→帰宅。
帰宅して→散歩(天気・帰宅時間による)→犬の食事→人間の食事。
パソコン立ち上げながら→お風呂の準備→就寝まで自由。

だいたい、こんな感じ。休日は、このプログラムから出勤が抜けます。
帰宅時間はまちまちです。なので、忙しいときなどは
自動的にブログは後回しにされてゆきます。
優先順位1 DM削除  2 定期メールの返信  3 〆切のある歌会。
このあとで、時間が許せばお気に入りサイトを見て回り
もっと時間が許せば立ち寄り先で少々遊び、それから更新です。
ここまでたどり着かず終わることも、当然、あります。


今日は1首しか採っていないので、私生活の一部公開?など
悪趣味なことをしてしまいました。
もっと読んでおもしろい生活をしていれば、喜んで更新するけど
私の日常なんて、だいたいこんなもんです(笑)

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2005/09/19

過去ログ100

081:洗濯 五十嵐きよみ様
 さりげない力で励まされている洗濯したてのシャツのにおいに
 混じりけのない朝陽からたちのぼるサボンのなんて潔癖な白
日常のひとこまが凄く新鮮です。洗い立ての洗濯物の香りって、清々しくて
嫌いなひとはまずいないと思う。それを「励まされている」とすることで、
洗濯する機会のある人すべての共感を呼ぶと思います。頷かずにいられない。

082:罠 五十嵐きよみ様
 信号がつぎつぎ青に変わるのが罠だとしてもまっすぐ進め
 さて何処へ行こうとしてる次の角曲がってすぐの暗がりが罠
一転して、サスペンスの香り漂う一首です。横断歩道で「白を踏まなくちゃ」とか
ほんとうは、そんな自分縛りなんだろうけれど、結句の決然とした感じが、
やはりサスペンスを連想させる。2首続いているだけに、発想の豊かさに
思い切り見惚れてしまいます。

016:たそがれ 久松様
 甘き香の追いかけて来ぬたそがれの小路に白きくちなしの花
 いつだってアイスクリーム色してたはなびら拾う遠い思い出
くちなし、大好きなんです。定型できっぱりとまとめたところが好感度大!

081:洗濯 仁村瑞紀様
 洗濯をするアマリアの歌声が乱反射したここアルファマに
 花嫁は笑顔たやさず歌うものこの幸せは濃密なのか
間違っていたらご免なさい。私の知る限り「アマリア(アマリヤ)」とは
アフリカの方の言葉で「花嫁」を指すと記憶します。初々しい花嫁さんが
楽しげに洗濯している。声が陽射しの強い大気中を乱反射する。
おおらかで美しいと思いました。

006:時 里原志穂様
 涙ごと溶かして眠る彼方には柱時計の振り子響いて
 ちくたくと錆びた振り子が目を覚ます泣く子はだあれ寝かせてあげる
言葉の選び方が、重たくなるところの寸止めで、絶妙だと思います。これ以上、
漢字が多くても、少なくても、この味わいは出せないと思う。

007:発見 里原志穂様
 目を閉じてうつろう景色漂えば一人も二人も同じ発見
 人はみな孤独の部分噛みしめて眠りの甘さ漂っている
これも、絶妙な文字バランスです。景色 漂えばのつきかたも、ぎりぎり。
重たくなる寸前で止めているのが効果的です。このログ前後のスタートでしょうか
この先がとても楽しみです。

050:変 ゆか様
 これ以上飲めば堕落になるだろう変調という酒を今夜は
 酔いどれて堕ちるが勝ちの今宵なら白旗上げて美酒に乾杯
大胆な倒置が、はっと目を惹く構成です。「今夜は」の位置どりが平凡なら
ここまで佳くないと思う。もう、ここにしかはまらない、絶対的な位置どりです。

069:花束 林 ゆみ様
 花束にならないような花ばかり好む指先ビーズの指環
 春女苑たばねて放す純情をよそおう指に嘘がかがやく
指先に指輪というのが、ちょっと「どきっ」とする構成です。指輪はふつう、
指の根元にするものだから。引っかかるようなビーズの指輪は、
それこそ本当に純情なのか、そう演じているかのボーダーラインのようで
読み手にあれこれ連想させる重要な小道具となっています。

022:弓 千坂麻緒様
 弓なりの背にそえた手にしっとりとあなたの汗が熱い 熱くて
 おたがいの温度を混ぜて落としてくどちらが先に醒めてゆくのか
好きなタイプの歌ではありますが、弓で弓なりの背中はけっこう、ある。
どこが好きかというと、結句のリフレインがすごくいい。「熱くて」で終わるのが。
ただ「熱い」よりも臨場感溢れる作りになっています。

058:剣 水須ゆき子様
 グラジオラスの剣の葉先に斬られつつ わたくしの血は雨より薄い
 重要と思わなかったわたくしの血の価値ほどに赤い花咲く
これ、結句にやられました。グラジオラスって本当に見るからに頑丈そうで
鮮やかな印象なのですが、それを剣に見立てるのは、まあ常套です。
しかし、雨より薄い血となると、これは見逃せません。一本とられました。

027:液体 汐見ハル様
 ねえきっと砕けるために出逢ったの液体窒素のゆびで髪梳く
 冷え切ったおたがいだから愛しいの?あなたとわたし どこか似ている
いいですね、液体窒素、ゆびの平仮名表記、ひんやりとした空気。どこをとっても
液体のお題で最大限のファンタジーだと思います。あまりの非現実、けれど、
あり得なくはない感情のやりとり。素敵です。


今日はいっぱい採れました。久々の更新ですし、ね。
今週は地獄のように忙しかったのですが、今日やっと少し余裕ができて。
また、停滞しがちになりそうですが、気長にやっていきます。

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2005/09/11

習作 カフェ・マキアート

まぼろしと呼ぶには甘くほろ苦く失恋の日のカフェ・マキアート
8月の歌会で、↑こんな歌を出しました。で、珍しくうまいこと調整がついて
合評会にも参加できたのですが、その中で習作をしてみました。
それが下の2首です。「甘くほろ苦く」が定型すぎ、ということで・・・

 まぼろしと呼べぬ苦さが舌に沁み失恋の日のカフェ・マキアート

 まぼろしは海沿いの街喫茶室 失恋の日のカフェ・マキアート

今見直すと、どっちも好きじゃないですね。反省。

 過ぎた日の甘さ苦さが沁みてゆく失恋の日のカフェ・マキアート

こんな感じの方が、くどくなくていいのかな、とも思います。
で、どうせだったら最初の提出歌から連作にしましょう、ということで。


ひとり来た煉瓦倉庫の街並みも苦しくはない もう過去の恋

まぼろしと呼ぶには甘くほろ苦く失恋の日のカフェ・マキアート

潮風が本当はきらい カモメ舞う鈍色の空きょう棄ててゆく

終焉を決めたあなたは悪くないうまくいかせる気さえなかった

追いかけてくるもの拒むカフェの隅 濃い珈琲の香を闇として


題をつけるとしたら、やっぱりカフェ・マキアートになるかなあ。
キャラメルマキアートも好きですけど、ちょっと洒落たカフェなどでは
これを飲みたくなる確率、高いので。

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過去ログ99

016:たそがれ 千坂麻緒様
 たそがれの猫の背中を見つめたらやさしい孤独 うん、大丈夫
 きんいろに西日を浴びて猫の背は孤独をまるくうけとめている
この場面には、やはり猫でしょうね。後半がすごく好きです。特に
うん、大丈夫という独白が効いていると思います。

051:泣きぼくろ 萩原留衣様
 泣きぼくろをキティの顔に書き入れる 今日からあなたは私の涙
 泣き虫がかわいいだけじゃ済まなくていつから涙は分身のもの
キティと、「あなたは私の涙」がいいですね。泣きたいことがあっても、泣けない。
それをキティちゃんに託している姿が、いじらしく可愛い。

052:螺旋 萩原留衣様
 日本には四季があるので思い出は花を纏った螺旋になります
 梅さくらひまわり桔梗ぐるぐると花に沿わせてたどる思い出
なんだろう、今日選んだお歌は、ここまでみんな結句が好きみたいです。
ちょっと説明臭さも否めませんが、綺麗なまとまりかたをしているので
「日本には四季があるので」という定型句の固さが和らいでいます。
これで、後半が弱かったら、きっと印象に残らないんだと思う。

054:靴下 牧野芝草様
 スカートからのぞくブルーの靴下をちらちらと見るドトールにいて
 紳士にはほど遠いけどお好みの男をさがすカフェの片隅
すっごい面白い。まず、スカートからのぞく靴下の長さです。スカートがすごいロングか
ニーハイの靴下が青いのか。ドトールで見えるんだから、スカートはせいぜい膝丈、
椅子に座って座面側(=太腿側)から、肌と靴下がちら見えしていると読んだ。
だとすると、ブルーをはきこなすのって、かなりハイセンスでスタイルも良くないと
ただの変な人になってしまうので、すごい美人とばったり会ったのかな、と。
31文字からここまで連想させてくれるお歌って凄いと思います。

007:発見 立花るつ様
 発見をたったひとつだけ握りしめピアノ教室出る夕まぐれ
 きょうひとつ見つけた秘密ゆうやけに放してしまえ音符にのせて
ピアノ教室という場所設定が、とても効果的だと思います。英会話教室や、塾や、
書道教室では雰囲気が出ない。バイオリンなどではちょっとおハイソになりすぎで、
ピアノの位置づけが丁度いいんですよね。

035:禁 美和知空様
 まだたどりつけない痛み 純真をさらけだすこと禁じられてる
 庇いつつほんとはすでに気付きつつ隠す純真 さいごの砦
前半と後半をつなぐ空白が、純真~以降を引き立てています。ここで一息、
余韻をおいてから進むことで、青っぽい痛みを感じることができる。


今日はここまで。今日って、もたもたしてたら日付変わったんですけど。。。
何だか調子が悪いのか、とにかく更新が遅くて、やっと99です。
これから100台に突入していくわけですが、自分が走り終わってしまって
あらためて「飛ばしすぎなければ良かったな」なんて思ったりしています。
ペース配分も大事ですね。しみじみ。

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2005/09/08

過去ログ98

090:薔薇 川内青泉様
 ご近所に退職したと薔薇配り三十八年を顧みぬ
 我が軌跡きっと触れない隣人にいま薔薇のとげ刺してく罠を
温かい退職のシーンです。私はきっと、誰にも薔薇を配れない。良い意味で
ふれあえる人が本当に、いないから。旧い友人から姿を消し。隠遁者になって。
充実した日々に喝采を送りたいです。

054:靴下 水須ゆき子様
 喪の家に咲く唯一の花として黒靴下の幼女ほほえむ
 伸びやかな茎だね幼女の細いうで不幸をこわすための生命
葬儀の会場はしめやかで、そんな中たしかに一番「花」なのは、まだ故人との
お別れを強く意識できない幼女の白い顔。びっくりしたように、眼をあけて。
靴下からはみ出した白い膝がまたかわいいエロスです。

080:書 五十嵐きよみ様
 いつだって話し言葉で強がって書き言葉ではさみしがるクセ
 ほんとうは言いたくないと思うこと溜めると駄目でからっぽは「無」で
気持ちを伝えるのは、難しい。言葉というものを持つ人間でさえそう。
どうやったら、本当の思いが伝わるの・・・と試行錯誤すべし。

089:巻 飛鳥川いるか様
 うるはしく渦を巻きをり春の夜の「小犬のワルツ」のト音記号は
 トゥララララぼくのしっぽをふまないでトゥラトゥラタ回れ輪舞のしらべ
かわいいです。ト音記号のぐにょ==って形がいいのでしょう。

029:ならずもの コメット様
 民飢えて餓死するおさな子ならずもの国家主席の非道な太鼓腹
 死に際に真の孤独を知るだろう太鼓にへちまなど描けるころ
じくじくと、リアルから持ってきていますね。共感度高いです。

060:影 田丸まひる様
 少しずつでも確実にひび割れていくのでしたね だれかの影で
 この疵を君と思えばうつくしく年老いたゆえとは言えねがな
ファンタジーを思わせる(ハンプティダンプティとか)一首。まひるちゃんのは
本当に好きなのが多いですよ。応援してましゅ。

029:ならずもの 逢森凪様
 愛にさえならずものさみしき想い 世界の果てはたぶんここだよ
 ぐうるりと砂場に円を描いてみる「乾杯!」叫ぼうここが世界だ
ならずものをうまく分断し、しかも自然なところがいいでしゅ・・・
ただ、とっても返歌が作れませんでした。


今日は、ここまで~いい加減眠いじゃ~

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2005/09/05

過去ログ97

003:つぼみ 大辻隆弘様
 睡蓮のつぼみのごとき火をはこぶ青銅の燭台のかたへに
 ブロンズに映えるつぼみのゆらめきをグラスに映す 夜は更けてゆく
睡蓮、いいですね。好きな花でもあり、形容に惹かれました。燭台というのも
言い回しが睡蓮とぴったりで良い選択だと思います。スタンドだと興醒め。

051:泣きぼくろ 水須ゆき子様
 泣きぼくろみたいに見える廃棄用タイヤ公園ブランコ跡地
 ひび割れたペンキに時を感じてるタイヤ飛び飛び廃校の庭
公園や学校のグラウンドに、よくありますよね、タイヤ遊具。ペンキを塗ると
かえって侘びしくなるものですが、黒いままを「泣きぼくろ」と見立てた視点が
すごく開けていていいお歌だな、と思いました。

005:サラダ 佐藤羽美様
 いっぱいにポテトサラダを頬張ってみれば遠くに轢死の予感
 飲み下す好物つつと喉を落ちつかえるような不幸のにおい
ほっこり、甘い、幸せ。そんな印象のポテトサラダ。私はタマネギを入れない、
酸っぱくしないサラダがいいです。とにかくポテトサラダの醸し出す幸せ感は
他の種類のサラダの追随を許さないのです。そこに「轢死」を持ってくることで
がつんと殴られたようなインパクトを与える。映画のシーンにあってもよさそう。

014:主義 枝川由佳様
 主義主張尖るくちばし本物の愛かおまえがくれるチェリーは
 うたがいはひとまず主義のそとに置けマンハッタンを奢りたいんだ
くちばしの平仮名表記が、主義の固さを受け止め、チェリーの小道具も
効果的な一首でした。オリーブやパールオニオンじゃ、イヤだ。
ホンモノの愛だと思いたい気持ちがあってこそのチェリーでしょう。

015:友 枝川由佳様
 上りゆくわれの曲線下降する友の曲線交差した夜
 われわれの絡みあう時差5秒ほど天国地獄どっちで待つの
おっと、2首めですね。しかもお題も連続して。この上り下りと曲線の使い方
すごく印象的でいいです。

097:静  望月暢孝様
 青蛇が静かに忍び寄る先のカルガモの雛六羽、きのうは七羽
 「かわいい」は禁句で生きるものもある目を逸らしたいいのちの連鎖
私、だめなんですよ。ドキュメンタリーとかで、ペンギンがシャチにとられたり、
ひな鳥が襲われたり、餓死したりするシーン。それが自然だし、撮影者は絶対に
それに手を貸しては駄目なんだろうけれど、助けたくなる。エゴなんです。
そんなエゴに、真っ正面からぶつかってくる力強いお歌でした。
やや破調ではありますが、こんなシーンを詠めること自体がすごい。

058:剣 田丸まひる様
 真剣にセックスをするときの目で間違いただされている朝焼け
 本能を恥と思わぬまなざしにえぐられる朝 こころがうずく
このストレートな健康さ、拍手です。セックスなんてずばっと書くことが、逆に、
官能を取り除いた健康的な本能を感じさせるから、「真剣」という前振りが自然。
いいなあ、ほんと、恥ずかしいことじゃないんだし、すぱっと言いきる方が
隠すよりいやらしくない。


今日はここまで。最近へんてこな返歌をつけてコメントしている分、
いくつかの弊害が出てきております。
第1に、返歌しにくいお歌の選択率が下がっていること。
これは由々しき問題です。歌は佳いのに私がついていけていない。
第2に、絶対数が減ってしまうこと。返歌の分長くなるから???
たまに返歌なしでの選歌もさせて頂きますので、
このページを閲覧して下さっている方で、「あれ、返歌ない」という事態も
今後あり得ると思いますが、どうかご了承下さい。

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おしらせ

今まで私が参加していた、ニフティの短歌フォーラムが閉鎖となります。
で、ニフティ会員限定だった月例歌会が、会場を変更して
9月からはどなたでも参加できるようにリニューアルされました!
今まで、IDがないからと参加できなかった方、
また、退会なさったかつての会員の方も参加できます。

http://ftanka.net/

こちらの「月例歌会」の掲示板で、今月の参加を募っております。
新しい環境に飛び込んでみたい方、是非御覧になってください☆
なお、当店のリンクに追加しておきましたので、
リンク集からジャンプして覗くことができます。
今月のお題は「履き物」
題詠マラソンの水須ゆき子(ぽっぽ)さんが今月のお題幹事なので
題詠マラソンからスタートなさった方も参加しやすいと思いますよ。

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2005/09/02

過去ログ96

003:つぼみ 佐藤羽美様
 一億の花のつぼみを踏み潰す時間、僕らは手を繋ぎましょ
 濃厚な香りを残し咲かぬまま死にゆく花よ我らをつつめ
一億という数のスケールの大きな限定が、やたらリアルなんですよね。
「手を繋ぎましょ」なんて軽い口調で締めているけれど、完成度高し。

028:母 浦好様
 母が居て涙乾かず自爆テロのイラク人にも米兵にもみな
 死に向かう嘘の勇気を抱きしめてゆくひとびとの胸には母が
ずん、と胸に響いて、素通りできないお歌でした。時事ものと言ってしまえば
身も蓋もないけど、そんな区分けを通り越して素晴らしいと思います。
当たり前の、けれど口にするにはちょっと勇気の要る現実。

048:袖 萩原留衣様
 5分袖のブラウスぐらいがちょうど良い恋と無縁の八月だから
 恋は恋まなつの陽射し受け止める腕のなかばに引く自我の線
5分袖がいいですね。で、8月、その恰好で出歩くと変に日焼けしたりして。
暑がりなので袖はない方が好ましいのですが、このお歌では半端な長さの袖が
かえってはまるのです。腕のまんなかに、黒と白の境界線ができて
ますます人前で服を脱げない。

027:液体 田咲碕様
 つたうのは液体ただの液体だにじむ背中に未練などない
 ナトリウム反応が出て未練花枯れよあいつの背にぶつけてる
汗とも、涙ともとれるこの「液体」の位置づけが絶妙。結句も格好良く決まっています。

085:胸騒ぎ 高崎れい子様
 ぞわぞわとやや右よりの胸騒ぎ途絶ゆれば寝ぬ余韻のなかに
 我が胸にけもの棲むらし遠吠えの如きざわめき夢の間際に
この「やや右より」がたまらない。他の部分だけ見ると、普通なんですけど
胸騒ぎの位置を特定することでやけに生々しいの。脱帽です。

057:制服 愛観様
 制服を脱ぎ捨てて知る縛られているから安全だった毎日
 自由とはほんとは痛く苦いもの規則やぶりの甘えを悔やむ
縛られているゆえに保証されるものもある。同感です。それを失ったとき、
自由よりきっと恐怖が押し寄せるから。身の置き場のないような。

044:香 黒月秋哉様
 隔てられた夜の中庭ひたひたと茉莉花の香の水位が上がる
 夜の樹の手招くような香に惹かれ満ちゆくわれら恋の手前だ
音読みすると「まつりかのかの」と重なるのが、ちょっと惜しい。でも、雰囲気がいいので
順番を変えてみるとか、何とか原作を活かしたまま工夫できたらいいな、と。

今日は、ここまで、9月の第一歩です。
ちょっとペースダウンしていますが、ぽつぽつ更新しますので・・・

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