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2005/09/02

過去ログ96

003:つぼみ 佐藤羽美様
 一億の花のつぼみを踏み潰す時間、僕らは手を繋ぎましょ
 濃厚な香りを残し咲かぬまま死にゆく花よ我らをつつめ
一億という数のスケールの大きな限定が、やたらリアルなんですよね。
「手を繋ぎましょ」なんて軽い口調で締めているけれど、完成度高し。

028:母 浦好様
 母が居て涙乾かず自爆テロのイラク人にも米兵にもみな
 死に向かう嘘の勇気を抱きしめてゆくひとびとの胸には母が
ずん、と胸に響いて、素通りできないお歌でした。時事ものと言ってしまえば
身も蓋もないけど、そんな区分けを通り越して素晴らしいと思います。
当たり前の、けれど口にするにはちょっと勇気の要る現実。

048:袖 萩原留衣様
 5分袖のブラウスぐらいがちょうど良い恋と無縁の八月だから
 恋は恋まなつの陽射し受け止める腕のなかばに引く自我の線
5分袖がいいですね。で、8月、その恰好で出歩くと変に日焼けしたりして。
暑がりなので袖はない方が好ましいのですが、このお歌では半端な長さの袖が
かえってはまるのです。腕のまんなかに、黒と白の境界線ができて
ますます人前で服を脱げない。

027:液体 田咲碕様
 つたうのは液体ただの液体だにじむ背中に未練などない
 ナトリウム反応が出て未練花枯れよあいつの背にぶつけてる
汗とも、涙ともとれるこの「液体」の位置づけが絶妙。結句も格好良く決まっています。

085:胸騒ぎ 高崎れい子様
 ぞわぞわとやや右よりの胸騒ぎ途絶ゆれば寝ぬ余韻のなかに
 我が胸にけもの棲むらし遠吠えの如きざわめき夢の間際に
この「やや右より」がたまらない。他の部分だけ見ると、普通なんですけど
胸騒ぎの位置を特定することでやけに生々しいの。脱帽です。

057:制服 愛観様
 制服を脱ぎ捨てて知る縛られているから安全だった毎日
 自由とはほんとは痛く苦いもの規則やぶりの甘えを悔やむ
縛られているゆえに保証されるものもある。同感です。それを失ったとき、
自由よりきっと恐怖が押し寄せるから。身の置き場のないような。

044:香 黒月秋哉様
 隔てられた夜の中庭ひたひたと茉莉花の香の水位が上がる
 夜の樹の手招くような香に惹かれ満ちゆくわれら恋の手前だ
音読みすると「まつりかのかの」と重なるのが、ちょっと惜しい。でも、雰囲気がいいので
順番を変えてみるとか、何とか原作を活かしたまま工夫できたらいいな、と。

今日は、ここまで、9月の第一歩です。
ちょっとペースダウンしていますが、ぽつぽつ更新しますので・・・

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