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2005/09/19

過去ログ100

081:洗濯 五十嵐きよみ様
 さりげない力で励まされている洗濯したてのシャツのにおいに
 混じりけのない朝陽からたちのぼるサボンのなんて潔癖な白
日常のひとこまが凄く新鮮です。洗い立ての洗濯物の香りって、清々しくて
嫌いなひとはまずいないと思う。それを「励まされている」とすることで、
洗濯する機会のある人すべての共感を呼ぶと思います。頷かずにいられない。

082:罠 五十嵐きよみ様
 信号がつぎつぎ青に変わるのが罠だとしてもまっすぐ進め
 さて何処へ行こうとしてる次の角曲がってすぐの暗がりが罠
一転して、サスペンスの香り漂う一首です。横断歩道で「白を踏まなくちゃ」とか
ほんとうは、そんな自分縛りなんだろうけれど、結句の決然とした感じが、
やはりサスペンスを連想させる。2首続いているだけに、発想の豊かさに
思い切り見惚れてしまいます。

016:たそがれ 久松様
 甘き香の追いかけて来ぬたそがれの小路に白きくちなしの花
 いつだってアイスクリーム色してたはなびら拾う遠い思い出
くちなし、大好きなんです。定型できっぱりとまとめたところが好感度大!

081:洗濯 仁村瑞紀様
 洗濯をするアマリアの歌声が乱反射したここアルファマに
 花嫁は笑顔たやさず歌うものこの幸せは濃密なのか
間違っていたらご免なさい。私の知る限り「アマリア(アマリヤ)」とは
アフリカの方の言葉で「花嫁」を指すと記憶します。初々しい花嫁さんが
楽しげに洗濯している。声が陽射しの強い大気中を乱反射する。
おおらかで美しいと思いました。

006:時 里原志穂様
 涙ごと溶かして眠る彼方には柱時計の振り子響いて
 ちくたくと錆びた振り子が目を覚ます泣く子はだあれ寝かせてあげる
言葉の選び方が、重たくなるところの寸止めで、絶妙だと思います。これ以上、
漢字が多くても、少なくても、この味わいは出せないと思う。

007:発見 里原志穂様
 目を閉じてうつろう景色漂えば一人も二人も同じ発見
 人はみな孤独の部分噛みしめて眠りの甘さ漂っている
これも、絶妙な文字バランスです。景色 漂えばのつきかたも、ぎりぎり。
重たくなる寸前で止めているのが効果的です。このログ前後のスタートでしょうか
この先がとても楽しみです。

050:変 ゆか様
 これ以上飲めば堕落になるだろう変調という酒を今夜は
 酔いどれて堕ちるが勝ちの今宵なら白旗上げて美酒に乾杯
大胆な倒置が、はっと目を惹く構成です。「今夜は」の位置どりが平凡なら
ここまで佳くないと思う。もう、ここにしかはまらない、絶対的な位置どりです。

069:花束 林 ゆみ様
 花束にならないような花ばかり好む指先ビーズの指環
 春女苑たばねて放す純情をよそおう指に嘘がかがやく
指先に指輪というのが、ちょっと「どきっ」とする構成です。指輪はふつう、
指の根元にするものだから。引っかかるようなビーズの指輪は、
それこそ本当に純情なのか、そう演じているかのボーダーラインのようで
読み手にあれこれ連想させる重要な小道具となっています。

022:弓 千坂麻緒様
 弓なりの背にそえた手にしっとりとあなたの汗が熱い 熱くて
 おたがいの温度を混ぜて落としてくどちらが先に醒めてゆくのか
好きなタイプの歌ではありますが、弓で弓なりの背中はけっこう、ある。
どこが好きかというと、結句のリフレインがすごくいい。「熱くて」で終わるのが。
ただ「熱い」よりも臨場感溢れる作りになっています。

058:剣 水須ゆき子様
 グラジオラスの剣の葉先に斬られつつ わたくしの血は雨より薄い
 重要と思わなかったわたくしの血の価値ほどに赤い花咲く
これ、結句にやられました。グラジオラスって本当に見るからに頑丈そうで
鮮やかな印象なのですが、それを剣に見立てるのは、まあ常套です。
しかし、雨より薄い血となると、これは見逃せません。一本とられました。

027:液体 汐見ハル様
 ねえきっと砕けるために出逢ったの液体窒素のゆびで髪梳く
 冷え切ったおたがいだから愛しいの?あなたとわたし どこか似ている
いいですね、液体窒素、ゆびの平仮名表記、ひんやりとした空気。どこをとっても
液体のお題で最大限のファンタジーだと思います。あまりの非現実、けれど、
あり得なくはない感情のやりとり。素敵です。


今日はいっぱい採れました。久々の更新ですし、ね。
今週は地獄のように忙しかったのですが、今日やっと少し余裕ができて。
また、停滞しがちになりそうですが、気長にやっていきます。

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