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2005年10月

2005/10/26

過去ログ111~114

111より

094:進 もりたともこ様
 火に耐えて氷に耐えて進化した過去は語らず豊かなる海
特に前半が好きです。これがあって、過去は語らず、が活きるから。


112より

089:巻 住職(jusyoku)様

 巻き戻せない過去。言い過ぎたのは僕?もう今は君しか知らない。
いつも、この句読点遣いの巧さに惹かれます。結句が一気に心情を吐露する。
ほんの少しの後悔と、切なさと、取り戻せない恋人と。

092:届 水須ゆき子様
 届かない手紙のように死の精となりしジゼルが伏せる眼差し
ジゼル、いいですね。固有名詞の持ってきかたが抜群です。短歌として、
共感できる名詞を探すのは、実は難しかったりして。
ぽっぽさんのお歌は生活臭漂うものが多い中、こういうのも新鮮でいい。
技量の確かさと完成の豊かさを思わせます。

049:ワイン 駿河さく様
 飲みかけのワインを舐める本当に帰りたいならどうぞ帰って
啜るんじゃなくて舐めるのがいい。ちょっとふてったような表情とか、
もう特に未練のなさそうな雰囲気とか、気怠そうな仕草とか、全部浮かぶ。


113より

099:動 萱野芙蓉様
 裸婦像の動かぬ指が波だてる沼、哀しまぬ緑衣のわたし
これは、勝手な想像ではありますが、グリーンスリーブスが土台かな、と。
哀しまぬ、にすごくマッチします。裸婦像との対比も素敵。

041:迷 白辺いづみ様
 キスの時どちらに傾くのか迷う 夏はセミの音ばかり聞かせる
これが「聞こえる」なら興醒め。聞かせるからいいんです。
キスって、確かにどちらかに微妙に傾くんだけど、あらためてお歌になると
新鮮に感じてしまう。


114より

094:進 住職(jusyoku)様
 あの時気付いた、僕は進めない。奪われたものは何?雪は降る。
句読点の覇者とお呼びしたいぐらい巧妙です。この途切れ方が、結句を
より寒く、ひんやりさせているから。一見関連性なく感じさせておきながら、
実は心情も入っている、という。


今日はここまで。一気に進みました。っていうか、ひとつひとつのログで
これは!というのが少なかったせいもあります。
何度も繰り返していますが、私が採るのは「私の好きな」歌であって
それが世論的に秀歌かというと、ずれも生じると思います。
まず、生活臭を出すなら説得力が欲しい。
ただ子どもがどうしたこうした、母親が、じいちゃんがどうしたというより
プラスアルファの言葉で、好き嫌いが別れます。
特に子ども、幼子、嬰児などは、それだけで可愛いのか知りませんが
単に赤ちゃん成長記録になってしまうと、子どもありの人にしか、
共感を得ることができなかったりして。

幻想的なものについても、あまりにも・・・というのは避けてるかも。
とことんファンタジーか、ありえない!かの境界線は難しいけれど
私は、自分が完走してから、独り善がりの歌をたくさん残したことを
すごく悔やんでいます。自作でありながら、これは
多くの皆様に読んで頂く作品ですから、もっと推敲すべきだった、と。

ちょっと珍しく難しい話なんかしちゃいました。

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やーん、もう!

張り切って感想を入れていたら、パソコンがぐれてしまい
全部消えちゃいました。がっかりぃ~

というわけで。約50のログが放置プレイです。

いいもん、またやるから。。。
でも今日はもう、無理です。はい。

いま、丹羽まゆみ様のブログで、いろいろお勉強しています。
もし興味のある方がいらっしゃいましたら、
勉強になる&楽しいので、是非覗いてみてくださいね~

冷静になれば、マラソン終了後も感想はできるわけで・・・
ゆっくり進めても、いいのかな、と開き直っています。

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2005/10/19

過去ログ109 110

過去ログ109より

087:計画 水須ゆき子様
 計画によれば家族はあと二人増えたはずらし味噌買いに行く
なぜかしら、味噌には一種の泥臭さを感じるのです。この歌で買っていいのは
まさに「これしかない」はまりかたをしています。大根でも、米でもいけないし、
ジャムではなおまずいし、やっぱり味噌には勝てません。

045:パズル 杉山理紀様
 小さなパズル完成させないままで置く空白は赤 そこで待ってて
空白が「赤」なのに惹かれます。「小さな」パズルなのも効果的。
膨大なピースのパズルでは、この赤は活きないから。

024:チョコレート 笹田かなえ様
 チョコレート溶ける留守宅栗りんごゴリラらんちゅう薄い淫乱
「目で読む」媒体の勝利。これ、音読するとただのしりとりなんですけど、
語彙の揃え方が巧みですよね。チョコレートでジャンケンにした歌ははねてますが
しりとりにされると、くらくらっときちゃいます。特にゴリラ以降の流れが絶品。
どんな人がやっているしりとりなのか、まで気になってしまう。

044:香 K.Aiko様
 わたくしの香りあなたの香り 今 闇に絡んで繋ぐ唯一(ゆいいつ)
「今」前後の空白の使い方が絶妙です。また、ルビなしでも唯一なんだけど
ここにルビを寄せることで、呟くような効果が出ている。まるで、31文字プラスアルファ。
この重みは、大事だと思います。漢字で詰まってしまいそうな結句に広がりが出る。


過去ログ110より

034:背中 青井なつき様
この先の赦しを乞えば少しずつ背中の色をたしてゆく夏
背中の~以降の流れが素敵です。どんな色でしょう。

009:眠 鈴木博太様
 思い出が過ぎゆくままに眠れない夜の時報は雨音の中
一挙果敢に駆け抜けたランナーの、一番好きなお歌がこれ。夜の時報。
1つのログの中で猛然と詠まれてゆく中、後半がしっとりとして物憂げで、
勢いだけではない何かを感じました。

今日は、ここまで。また増えてるし・・・
最近、しそジュース(本当は当然ジュースじゃなくて、紫蘇の葉を酢に漬け
氷砂糖を入れたもの)で焼酎を割って飲むのが、マイブームです。
なんとなく、だけど疲労回復する気がするの。
甘いのでごくごく飲めるのが嬉しいですね。酔っぱらいません。
なんか二日酔いの心配もないです。元気の源。

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2005/10/15

過去ログ107 108

過去ログ107より

034:背中 長谷川と茂古様
 公園の木々に止まりし空蝉の背中の穴が奏でる遁走曲(フーガ)
小さな小さな視点から、結句でぐっと広がりが出ているのがいいです。
夏のけだるさの中に小さなフーガが響いている感じ。

083:キャベツ 佐藤理江様
 四つ切りのうへに芯まで外されて完全武装解除のキャベツ
後半にやられました。キャベツの武装は、いちばん外側の葉っぱと
芯なのかしら?ラム肉とキャベツの煮込みはこれからの季節絶品♪
そうだ、ビショップに加えなくては!

062:風邪 市川 周様
 風邪気味のあなたが無理をするたびに新米白血球の葬列
これも結句がいいですね。風邪でも休まない人っていますけど(私も)
新米白血球が死んでるよ~って言われたら、ちょっと控えるかも。


過去ログ108より

003:つぼみ 瓜生ゆき様
 純白にぽたりぽたりとつぼみ落つ 窓を打ちつけざわめく椿
落ちる椿には、圧倒的に赤が多く使われる中、この白椿は美しかった。
椿が思いの外大きな木であることを知ったのは、ごく最近のことですが
本当に花のまま、地面に散らばっているんですね。

063:鬼 新藤伊織様
 鬼百合が奇妙な顔で咲いている付けられた名を哀しむように
鬼百合もまた、人間の感性で損をした花かもしれません。鮮やかで綺麗だけど
白百合などと比較してあの鮮烈さが、強いイメージになってしまったのかも。

ふう。また2つ進めました。
ちょっとさぼっていると、どんどん進んでしまいますが、
こちらも仕事や義務でやってるわけじゃないので、
どうしても私生活が優先になってしまいます。
本店なんか、ほんと更新されてないし・・・

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過去ログ105 106

過去ログ105より

090:薔薇 中瀬真典様
 氷のやうに光る野薔薇のレントゲン花びら一つふいに赤らむ
ただの薔薇ではなく、野薔薇なのがいいと思います。あまり仰々しくなく、
それでいて薔薇の持つ雰囲気も損なわず。

059:十字 やまもとなおこ様
 十字架を背負った人を見つめつつ除細動器を用意していた
医療スタッフらしいお歌。もし、歌の中だけでのことなら、すごい技量です。
不整脈を取り除くのに、ばちーんと当てるあれですよね?
十字架(=ここでは死の象徴でしょう)がものすごくリアルに感じます。

090:薔薇 17番様
 あの背には星の王子が乗るだろう薔薇を銜える一角獣座
乗るのが星の王子様なところが、いいです。薔薇はきっと星雲なんだと思う。
薔薇っていうお題だから、なんとか薔薇を持ってこなければならないんだけど、
まるで薔薇がつけあわせのトマトか何かのように自然に馴染んで、
全然目立たないところがいいと思う。

31:盗 ケビン・スタイン様
 巻き貝で盗み聞きした物語 海にあなたの涙はもうない
後半の締め方がすごくお上手だと思います。巻き貝で~のくだりは、
ちょっとリアルじゃないけれど、こう締められると、ぐっとくる。
最後までファンシーなままでいくより、ずっといいです。

075:続 水須ゆき子様
 海だけが川の続きでないことを分からずに雲は別れても雲
前半、説得力に富む表現。そう思いこんでしまうし、ほとんどみんな、
そう思っていると思う。で、雲です。水は雲にもなるんですね。
なんて科学的な話をするためのお歌では無論なく、全体としてのまとまり、
そこはかとなく漂う哀愁感が、ポイントだと思います。

068:四 佐藤理江様
 憎まれぬことそれ自体幸運な幸運な奇形四つ葉の三つ葉
四つ葉のクローバー=奇形というのは、言われないと気付かない盲点です。
クローバーのみならず、奇形っていうのは、そのものの責任ではないのに
確かに目に付きやすく、不条理に憎まれるかもしれない。
鋭い着眼点が印象的でした。


過去ログ106より

096:留守 暮夜宴様
 星屑のオーケストラの片頭痛ベテルギウスが居留守らしいよ
オーケストラなんて苦手っぽい人選(?)がうまいと思う。ファンタジーなんだけど
現実に置きかえることもできるリアルがいい感じで効いています。

090:薔薇 もりたともこ様
 影さえも笑まぬあなたに白薔薇をわたし何かが終わるのを待つ
私、薔薇のお題かなりとってますね。つくづく好きなんだなあ。
このお歌の好きだったところは前半の流れ。影さえも笑まぬ、という、
ほんとうにひんやりした表現が素敵。白薔薇によく合いますね。
白薔薇を、で切ってわたし=私、渡しの両方に読めるのもいい。


大変です。10月なのです。皆さんゴール目指してラストスパート残り5キロ。
どんどんログがたまっていて、ちょっと忙しくしている間に、えらいことに。
ちょこちょこと活動はしていたものの、ログを読み返す時間まではなく・・・
今日もこれからひとつ、〆切と格闘します。
その後また、進められたら、進めようと思います。

がんばれ、私。

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2005/10/06

ピルエット 習作

青空の記憶 風車は焼け落ちてレジスタンスの空は鈍色

 踊り子の脚したたかに弧を描き故郷を思うこころを揺らす

  阿蘭陀の五月は紅く燃えていた少女の頬と咲くチューリップ

 危うげにかしぐ木靴のピルエットもうひとひらのためらいもなく

のびやかな痩躯は風になびくよう 人である日の残りかぞえる

 なにものも消し去りがたき妖精よ終の棲家は銀幕のおく

  踊ること生きてゆくことたたかいはつま先立ちの木靴のにじみ

このシリーズを作るきっかけになったのは、題のとおり、
木靴のピルエット、です。
オードリー・ヘップバーンが戦争中、レジスタンスのため、
防空壕でバレエを披露してカンパを集めていたが
最後には木靴しか残らず、それでも踊った、という伝記から
ピルエットが実際に出来たかどうかは別として
彼女のしたたかな一面を詠みたくなりました。

で、月例歌会に出しましたところ、ですね。。。
「ためらい」を「ためたい」なんて誤って送ってしまいまして
しかも訂正さえ自分で気付かなかったため間に合わず
全く意味不明の歌として発表されてしまったのでした。

懺悔です。ここで少し連作しましたが
推敲を加え、本店に展示中のヘップバーン歌と併せて
本店に最終発表したいと思います。

 

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2005/10/03

過去ログ104

099:動 柳子様
 熱をもち動かぬ木々の黒き影窓辺を塞ぐ夏の夜の鬱
このログのたくさんの投歌の中で、これが一番好き。
色彩がいいのかもしれない。夜なのでもちろん鮮やかではないけれど、
鬱蒼とした緑だとか、闇の色だとか、リアルです。

011:都 細江 藻花様
 都とは隣人の顔知らぬまま愛し愛され殺されるところ
淡々としているところが、いいですね。現代的な廃墟のよう。

043:馬(再投稿) 中川佳南様
 わがうちの奔馬目覚めて駆けてゆく春暁 空の果てまで黄色
奔馬、いいですね。春暁の黄色に、栗毛の馬がまっすぐ駆けてゆく
そんな絵を想像しました。

009:眠 まっちゃ様
 帰燕らの眠りは浅し 傍らに雨音の幕めぐらせながら
全体の雰囲気が、寂しげでいいです。物憂げな雨の日。

072:インク 水須ゆき子様
 キーを打つたびに薄れてゆく恋はインクリボンに残るイニシャル
これ、ワープロ世代ならわかりますね。インクリボンに、ずーっと、
今まで打った文字が並んでゆくの。

059:十字 夏瀬佐知子様
 聖戦だ侵略だああ十字軍ひと対ひとの輪廻は続く
すごく共感する。聖なる名の下に繰り返される殺戮は、始末が悪い。
どっちも「我こそは神の名のもとに正しい」ことをしていると思っていて。

046:泥 影山光月様
 ウイスキーグラス片手に午後十時 泥炭の香り燻らせながら
濃いめのスコッチ、時間は深夜でも早過ぎもせず、至福の時間です。
人を待つときさえ、この時間は物憂げでもなく、ひとりが似合う。


今日は、返歌なし、ここまで~
いいお歌が出ていますね。うんうん。
10月に入りました。そろそろ歌会もスパートがかかって
どんどん新しい作品に触れる機会が多くなります。
とても楽しみです。

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