過去ログ20~22
まずは20から。
008:鞄 M.東矢様
月夜には空とぶ鞄も見えつらむアンデルセンに抱かれし頃
アンデルセンというのが効いています。
097:静 謎野髭男様
コルボ振る慈愛静けさ鎮魂のフォーレを聴きて心満ちたる
静かなやさしい音楽が聞こえてきそう。発句が佳いです。
012:メガホン 落合朱美様
早春の訪れ告げむと黄水仙小さきメガホンつんともたげて
ああ、そうだ。水仙のつぼみってそんな感じですよね。歌として拝読し
改めて感動しました。
続きまして21
052:螺旋 行方祐美様
今朝の香となるのか林檎ゆるやかな皮の螺旋をつづけるかぎり
倒置がとても効果的。そのままでもお歌の形としてはできあがっていますが、
最初に林檎を持ってきたことで、後半の印象が強まります。
002:色 きじとら猫様
誇り高き金色(こんじき)の眼の野良猫よ鎧の柄はぞうきんなれど
野良猫の少し凝り固まったような毛並みを「鎧」「ぞうきん」と呼びつつ、それが却って
誇り高い目線を効果的にしていると感じます。
そして22
088:食 船坂圭之介様
かすみゆく砂塵の中に隻腕の少女それのみ食(は)むパンの耳
090:薔薇 船坂圭之介様
春雷のはしり抜けゆく薄暮れに薔薇は首(かうべ)を挙げしまま朽ち
船坂様の拾い上げる題材は、弱きもの、儚きものが多く、それが雰囲気によく似合う。
本当に厳選しての2首でした。
006:時 星川孝様
還らざる時のはざまにふりしきる枯葉も雨もかすれたるまま
文字で拝読する以上、仮名の配分が上手なお歌には強く惹かれます。
「はざまにふりしきる」総て平仮名のところが、結句に馴染む。
今日も少ないですね~
私の歌があちらこちらに挟まっているのが、邪魔。
とはいえログだから、投稿している以上邪魔でも出てくるし。
今日は1首ぐらい詠みたい気持ちです。
マラソンとは無関係で。
シャガールの青うつくしくピカソなら青は哀しく同胞なれど
昨日もちらっと書いたんですけれど、私自身がここで選歌させて頂いているお歌は
それぞれ詠まれている方も違いますし、当然皆さんの歌歴、環境など皆違います。
選んでいないお歌もあるわけですが、決してそれはそのお歌が下手だというのではなく
単に私の好みに当てはまらなかったということです。
気に入らない=下手、というのは乱暴な話で、ならば例えば、
ミレーは好きだから上手、ゴッホは嫌いだから下手とは誰も言わないと思うのです。
それは勿論、両者が巨匠である背景もありましょうが、
ミレーが初めて絵筆を握った瞬間から「落ち穂拾い」を描けたわけではなく
その裏には多くの習作、デッサンが存在するわけです。
デッサンを拒み、習作を拒んで、果たして名画は完成したでしょうか。
答えは「否」だと私は考えております。
題詠マラソンという場で、「せっかくだから、ここでデッサンの勉強をしよう」
「ここで少し他の方の作品に触れ、習作してみよう」と考えている方もおられるわけで
それを一蹴するような真似だけは、私は、したくない。
たどたどしくても瑞々しさが好きなお歌もあります。
技巧的であっても琴線に触れないお歌もあります。
私がこんな偉そうなことを言える立場ではないのですが、
どうか現在走っている皆様には、それぞれ心地よい達成感を得て頂きたいと
心から願うばかりです。
トラックバックしてくださったりコメントを下さった皆様、
本当にありがとうございます。
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